「私……なんか変」

 どうしてかわからないけど、ミツキくんといると心が変になる。 ドキドキして、ミツキくんの顔がちゃんと見れなくなるし、抱きしめられた時も嬉しいと思ってしまったし。
 なんなら、私もギュッと腕を回してしまったし。……私、この頃変だ。

 結婚を白紙に戻すために嫌われ作戦を決行しているのに、ことごとく裏目に出てしまう。
 私はどうしたらいいのだろうか。 なかなか嫌われようとしているのに、嫌われない。
 むしろ大好きだとか、宝物だと言われるほどになってしまった。
 このままじゃ、嫌われ作戦がうまく行かない。

「どうしたらいいんだろう……」

 このままじゃ嫌われるどころか、結婚の話が進んでいきそうだ。

「無理だよお……」

 嫌われ作戦は他に何があるだろうか? カラオケもダメ、おっちょこちょいもダメ、料理もダメ。
 じゃあ他に何があるの? 何にも思い付かない。

 高校卒業まで残り後数日。卒業式の練習などもあるから、この数日は忙しくなりそうなんだけど。
 なんとかして結婚を回避するために嫌われることを想定していたが、うまくいかない。
 
「やっぱり……これしかないか」

 考えた結果、やっぱりこれしかないと思った。
 私は翌日、シズルくんにあるお願いをすることにした。

「シズルくん」

「リオル? どうした?」

「ちょっといいかな?」
 
「ああ」

 シズルくんを体育館の裏へ連れて行った私に、シズルくんは「どうした?」と私を見る。