「ごちそうさまでした」

「いえ、そんな」

 最後に二人でミツキくんが買ってきてくれたフルーツタルトを食べることにした。

「うう……」

 と、届かないっ! お皿を出したいのだが、背が低い私にはお皿の位置が高すぎて届きそうにない。
 ど、どうしよう……。届かないんだけど!

「えっ……?」

 そう思った時、ミツキくんが腕を伸ばしてお皿を取ってくれたのだった。

「どうぞ、リオル様」

「あ、ありがとうございます」

 今のお皿を取ってくれた時のミツキくんの横顔がなんだかカッコよく見えてしまい、思わずドキッとしてしまった。

「おケガはありませんか?」 

「だ、大丈夫……です」

「それは良かったです」
 
 あれ……。私、なんでこんなドキドキしてるの?
 さっきのミツキくんの行動がカッコ良かったから? それとも……。

「さ、フルーツタルト食べましょう」

「う、うん」

 私……結婚したくないんだよね? うん、結婚したくない。
 そのはずなのに……。

「なんで……」

 なぜかミツキくんに、どんどん心を奪われている自分がいることに気付いてしまった。

「結婚……したくないのに」

 婚約を破棄したい。だからこうやって嫌われ作戦を決行しているのに……。
 どうして、私はミツキくんから目が離せなくなるんだろう……。どうしてなの?

「リオル様?」

「ごめん、今行く」

 私、彼に嫌われるために何をすればいいの……?