材料を購入したので、とりあえずエプロンを付けて気合を入れる。
 お願いだから、不味いって言ってほしい……。
 作り方はとりあえずレシピを開いてみる。 材料の他調味料を確認する。 

「なるほど、醤油にみりんに砂糖ね……」

 家にある調味料を見るとみりんや砂糖の他にお酢や塩、ブラックペッパーなどもある。

「……これだ!」

 調味料間違って作っちゃって不味くなっちゃった!……っていうことにしよう。 
 わざと不味い料理を作ることなんて出来るのかわからないけど、いざ決行だ。 

 とりあえずレシピを見ながら作り始めてみるが、手際の悪い私はどうにもこうにも不気味が過ぎる。
 ジャガイモの皮の剥き方も雑だし、切り方もまばらだし、明らかに料理が苦手な人の類にしか見えない……。

「えっと……次は?」

 レシピを見ながら工程を進めていく。 なんとか時間をかけてそれっぽくなってきた気がする。
 後は煮込むだけ……なんだけど。 とりあえず味見を試みる。

「ん、めっちゃ不味っ……!」

 なにこれ!本当に肉じゃがっ!? こんなに不味い肉じゃがあるっ!?
 自分で作っててなんだけど、めちゃくちゃ不味い。……料理のセンス、マジでないな私。
 
「でもこれなら……」

 きっとミツキくんにも嫌われること、間違いないと思う。 こんなに美味しくない料理を作る妻なんて、絶対に夫としてはイヤなはずだ。
 これで婚約破棄をしてもらえるなら、頑張って嫌われてみせるわ。