「……ん?」

 彼氏……候補? 私の、彼氏候補?

「彼氏? 私の?」

「おう。彼氏いないんだろ?」

 そう聞かれたので、なんて答えたらいいのかわからない。

「い、いないけど……うん」

「じゃあさ、俺と付き合うこと、考えてみてよ」

「……うん。あの、うん、それはちょっと……」

 と話したら、「え? 彼氏いないんだよな?」と聞き返してくる。

「まあ、いないんだけど……ね」

「いないならいいだろ? 考えといてよ」

 私の頭にぽんと頭を乗せて立ち去るシズルくんに、私はどうしたら良いのかわからなくなった。

「……あ、頭、ぽんとされた?」

 ミツキくんにはされたこと、ないけど……。ちょっと、ドキッとした。

 そうだ、そんなことより……。なんとしても結婚を阻止するために動かねば。
 そんなことを考えながら卒業式の準備を終えた私は、学校を出て家の方面へと歩き出す。
 その時だった。

「……リオル様」

「えっ?……み、ミツキくん!?」

 な、な、なんでここにっ!?

「おかえりなさい、リオル様」

「えっと、なんで?」

 ミツキくんに「お母さんから、今日は学校だと聞いたので迎えに来ました」と言われる。

「そ、そうなの?」

 迎えに来てほしいと頼んではいないのだが、来てくれたそうだ。

「一緒に帰りましょう、リオル様」

「えっ? えっと……一人で大丈夫だよ」

「ダメです。帰りましょう、一緒に」

 とミツキくんから手を引かれる。