「僕はあなたの様子を都度ご両親から聞いていますので、ご安心ください」

 ご、ご安心くださいって……言われても。

「リオル様は、どうして結婚したくないのですか?」

「えっ、どうしてって……」

「結婚したくない理由が、なにかあるのですか?」

 そう聞かれると、素直に言っていいものかはわからない。

「まだ十八で結婚なんて、若すぎますし……」

 本当はそれは思う。十八で結婚することなんて考えていない。

「そうでしょうか?」

「……え?」

「十八で結婚したとしても、それは僕たちが決めた人生なので、早いかどうかを決めるのは僕たちですよ」

 ミツキさんがそんなことを言うから、私は妙に納得しそうになってしまう。

「……あの、お茶冷めちゃったんで淹れ直して来ますね」

 一旦ミツキさんから離れたくて席を立つ。

「リオル様」

 なのにミツキさんに腕を掴まれてしまう。

「は、はい……?」

「リオル様、結婚のこと……もう一度考えては頂けませんか?」

「……え?」

 ミツキさんは「僕はリオル様のことを知っているつもりでしたが、リオル様はまだ僕のことをあまり知らないから、結婚したくないと言っているのですよね?」と問いかけてくる。

「そ、それは……」

 それはたしかに、そうなんだけど……。

「ならば、僕に時間を頂けませんか?」

「え? 時間……?」

「僕のことをリオル様にはもっと知ってほしいので、僕に時間をください」