「リオル、これミツキくんの連絡先よ」

 母から渡されたのは、ミツキさんの連絡先だった。

「え?」

「ミツキさんに連絡してあげてね、リオルからの連絡、待ってるから」

 母は「もうこんな時間。夕飯の買い物に行ってくるわね」とリビングから出ていってしまった。

「ちょっと、ママ……!」

 ええっ……。どうしたらいい?私。

「結婚なんて無理だよ……」

 ミツキさんのことよく知らないのに、結婚? 無理無理。 絶対に出来ない!

「あなたを迎えに来ました」

 そう言われた時、私はミツキさんが王子様みたいだと思えたのはたしかであった。
 しかし結婚ともなると、それとこれとは話は別なのだ。 結婚するかどうかを決めるのは、私だよね?
 私には断る権利はないということ、なのだろうか。 だってミツキさんは言っていた。「抗うことなど出来ない」って……。

「大学受験……か」

 大学受験に失敗してしまった私は、今後も大学受験を続けるかどうかは正直、迷っていた。
 一浪してまで受験をするかどうか、そこがまだ決めかねていた。
 本当に行きたかった大学だったからこそ悔しくて、ショックだった。

 あんなに必死で勉強して、寝る時間を割いてまで勉強したというのに、まさなあんな結果になるなんて……。
 結果を見た時あまりにもショックで、何も考えられなかった。私はこの時、人生が終わったと思った。 自分の努力が報われなかったから。