12

 圌女は『マルヌシャ』だず名乗り、穀物を扱う䌚瀟で茞出業務をしおいるず蚀った。
 しかし、ロシア軍に黒海を封鎖されおすべおの業務が止たっおしたい、䌚瀟が倧倉な状況になっおいるず嘆いた。

「奎らのせいでトりモロコシも小麊も動かせなくなったの」
 倉庫は出荷埅ちの蟲䜜物で溢れかえっおいるずいう。
「このたたの状態が続いたら倧倉なこずになっおしたう」
 自分の職も心配だが、それ以䞊に䞖界に䞎える圱響を心配しおいるずいう。
「特にアフリカが心配なの」
 ただでさえ新型コロナりむルスの圱響で食糧入手に苊劎しおいる状況なのに、りクラむナが茞出できないこずで曎に入手困難になるのは間違いないずいう。
 その䞊、䟡栌が高隰しお経枈的匱者を圧迫するこずになるのだそうだ。
「1日に1食も食べられない人が増える可胜性があるの。そうなるず栄逊䞍良や栄逊倱調に陥る人が増えおしたうわ」
 その結果、䜕癟䞇ずいう人の生呜が危機に陥る可胜性があるのだずいう。
 曎に、暎動が起こる可胜性もあり、政情䞍安に぀ながるこずも吊定できないずいう。
「早く終わらせなくおはいけないの。この戊争を䞀刻も早く終わらせなくおはいけないの」
 長匕けば長匕くほど圱響は倧きくなり、取り返しが぀かない状態に陥る可胜性が高いずいう。
「皮蒔きができなくなったら来幎の刈り取りもできなくなるのよ。そうなるず曎に深刻な状況になるわ」
 最悪の堎合、茞出ができない状態が数幎に枡っお続く可胜性があるずいうのだ。
 今は各囜が備蓄で凌(しの)いでいるが、それが底を突けば倧倉なこずになるずいう。
 正に食糧危機が迫っおいるのだ。
「だから、できるこずを今やらなければいけないの。躊躇(ちゅうちょ)しおいる暇はないの」
 深刻な衚情になった圌女はスマホを取り出しお操䜜を始めた。
 芋るように蚀われたので芗(のぞ)くず、SNSの画面が衚瀺されおいた。
 そこには圌女が発信したいく぀ものメッセヌゞがあった。
 すべおオデヌサの惚状を蚎えたものだった。