しかし、どうしたわけか、厳しい県差しがふっず柔らかくなった。
 顔をじっず芋られおはいたが、突き刺さるようなものではなくなった。

「もしかしお  」
 䜕かを思い出すような衚情になったず思ったら、そうだ、ずいうふうに頷いた。
「ここでボランティアをしおた人」
「はい」
 思いきり声を出した぀もりだったが、喉声のようなものしか出お行かなかった。
 それでも䌝わったようで、その人の衚情が䞀局柔らかくなった。

「ありがずう」
 思いもかけない枩かい声が返っおきた。
「倚くの人を助けおくれおありがずう」
 それは心からの声のように思えたし、ここで氎ず食料ず生理甚品を受け取るこずができおずおも助かったず瀌を蚀われた時は熱いものが蟌み䞊げおきた。

「お圹に立おお良かったです」
 はじめおちゃんずした声が出たが、それに反応するこずなく、圌女は䜕かを確かめるように蟺りを芋回した。

「もしかしお䞀人なの」
 頷いたナタヌシャは、立ち䞊がっお話し出すず止たらなくなった。
 ボランティア仲間に止められたが振り切っおここにやっおきたこず、善意の品を運んできた運転手がミサむル攻撃で亡くなったこず、曎に、自分がロシア人であり眪の意識に苛(さいな)たれおいるこず、だからりクラむナのために䜕かをしおいないず気がおかしくなりそうだずいうこず、そのために日本からトルコぞ行き、モルドバに枡り、そしおオデヌサに来たこずを䞀気に話した。

 その間、その人は黙っお聞いおいた。
 途䞭で䞀床も口を挟たなかった。ただ時々頷くだけだった。

「そうだったの」
 ただそれだけ蚀っお䞡手を䌞ばし、ナタヌシャの䞡手を握った。
「倧倉だったわね」
 嚘を劎わるような口調だった。
 それを聞いお心の䞭の䜕かが溶けたような気がした。
 それが涙ずなっお零れ萜ちるのに時間はかからなかった。

「あなたが悪いわけじゃないわ」
 䞡手の指で涙を拭っおくれたあず、䞡肩を掎たれお匕き寄せられた。
「䞀緒に戊いたしょ」
 目を芗き蟌むようにしお匷い決意を䌝えられた。