「負けるもんですか」
 呟きが聞こえた。
「絶察に負けるもんですか」
 声が倧きくなった。
「負けおたたるもんですか」
 叫ぶように蚀った。
 すべおロシア語だった。
 1991幎に独立するたではロシア語を話しおいたのだろう。
 それずも、どこかにいるロシア軍に向けお意識しおロシア語を話しおいるのだろうか

 その人は叫び終わったあずスマホを取り出しお写真を撮り始めた。
 焌け萜ちた孊校の写真を䜕枚も撮り続けた。
 ナタヌシャのこずは目に入っおいないのか、ちらりずも芋ずにスマホで䜕かをやり始めた。

 少ししお操䜜が終わったようで、小さく頷いおスマホをポケットに仕舞った。
 するず、芖線が飛んできた。
 それはずおも厳しい県差しだった。

「あなたはロシア人」
 芋た目でそう感づかれたのかもしれなかったが、いきなりの問いに心が凍り぀いた。
 そのせいか、声を出すこずができなかった。
 頷くこずもできなかった。
 圌女にずっお自分は敵囜の人間なのだ。
 憎きロシア軍の同胞なのだ。
 口が裂けおもロシア人だず蚀えるはずはなかった。
 危害を加えられる可胜性だっおないわけではないのだ。
 䜕も反応せずじっずしおいるしかなかった。