そして、肉体関係のない白い結婚を理由に、結婚の無効をライアンに主張され、私は家に戻される。結婚した事実は無効に出来ても、公爵家から戻された女として私は肩身の狭い思いをして生きて行かねばならない。

 今ある現状を思えばそうするしかないし、覚悟を決めるしかなかった。

 泣いても笑ってもどう転んでも、愛のない日々を、二年間を耐えるしかない。

 だとしたら、出来るだけお互いに嫌な思いをすることなく、離婚までの二年間の日々を過ごせるようにしよう。そんな気持ちを誓った結婚式は終わり、宣言通りにライアンは夫婦の寝室には来なかった。

 それから、お互いに割り切って、期間限定の同居人と過ごす日々が始まった。


◇◆◇


 結婚式から時は流れ、一年十ヶ月後。

 意外にも穏やかな生活の中で、新生活に慣れたり、何かと忙しくしていたら、そろそろ、私たち夫婦が離婚する日は近付いていた。

 白い結婚宣言を初対面で言い出したライアンは、私をそういう意味で愛していない以外は、完璧な夫だと言っても良い。

 態度は常に紳士的で、乱暴な言葉を使われたこともない。