「これはこれは、アリエル様。今夜も、とてもお美しい。こちらのドレスも、とてもお似合いですね」
「まあ、お上手ね。貴方のような素敵な方に、お褒め頂いてとっても嬉しいわ。サミュエル様」
サミュエル様からのわかりやすいお世辞は社交辞令だと理解してはいても、彼のような容姿の整った男性に褒められればにっこりして嬉しくなってしまうものだ。
面食いだと言われてしまっても、これはもう女性の本能的なもので仕方ないと思う。
それに私は今夜のために特別に作らせた、黒の天鵞絨の生地で、いつもより大人っぽい体に添うようなデザインのドレスを着ていた。
光を反射して煌めくような艶やかな黒は、デュークの黒い毛並みを思い起こさせた。この美しい生地を見た瞬間に、私は絶対にこれでドレスを作りたいと思った。
———-これを着て、彼と踊りたいって。
「アリエル様が話掛けてくださるなんて、珍しいですね?」
サミュエル様はいきなり彼の前にやって来た私が不思議だったのか首を傾げた。
夜会と言えば、若い貴族たちの出会いの場でもあった。
けれど、あまりにも私がサミュエル様に対し興味を示さなかったので、自分は全くの圏外の存在なのだろうと思っているようだ。
「まあ、お上手ね。貴方のような素敵な方に、お褒め頂いてとっても嬉しいわ。サミュエル様」
サミュエル様からのわかりやすいお世辞は社交辞令だと理解してはいても、彼のような容姿の整った男性に褒められればにっこりして嬉しくなってしまうものだ。
面食いだと言われてしまっても、これはもう女性の本能的なもので仕方ないと思う。
それに私は今夜のために特別に作らせた、黒の天鵞絨の生地で、いつもより大人っぽい体に添うようなデザインのドレスを着ていた。
光を反射して煌めくような艶やかな黒は、デュークの黒い毛並みを思い起こさせた。この美しい生地を見た瞬間に、私は絶対にこれでドレスを作りたいと思った。
———-これを着て、彼と踊りたいって。
「アリエル様が話掛けてくださるなんて、珍しいですね?」
サミュエル様はいきなり彼の前にやって来た私が不思議だったのか首を傾げた。
夜会と言えば、若い貴族たちの出会いの場でもあった。
けれど、あまりにも私がサミュエル様に対し興味を示さなかったので、自分は全くの圏外の存在なのだろうと思っているようだ。