周囲に居る危険な獣との戦闘を除けば実戦と言えるのは、それが始めてだった。新入りということもあり、同期の連中と供に後方援護へと回った。
その戦いには特に作戦らしい作戦があった訳でもない。
お互いの数が数だけに長丁場になることも予想され、双方ともに様子見の開戦だ。
俺たちは現場の指揮官の命に従い、そろそろ後方へと下がろうかと機会を伺っていた。
だが、運悪く弓矢に射られた仲の良い騎士の血が空に舞ったのを見た瞬間。
—————俺はもう、自分が自分でも止められなくなった。
はっと気がつけば、俺たちが前にしていた多くの敵兵は、その数の殆どが地に伏していた。
気配を感じ振り向き背後に居た味方のはずの何人かが、俺のことを怯えた目で見ていた。
獅子の獣人が扱いづらいとされている原因のひとつを、自分が体現していることにその時俺は気がついた。
俺たち獅子獣人が真剣に戦う時は、一族や家族が脅かされている時のみ。
ということは、決死の一大事のみだ。お互いに殺すか、殺されるか。
そんな状況に力の加減などをして、戦っている場合ではない。
その戦いには特に作戦らしい作戦があった訳でもない。
お互いの数が数だけに長丁場になることも予想され、双方ともに様子見の開戦だ。
俺たちは現場の指揮官の命に従い、そろそろ後方へと下がろうかと機会を伺っていた。
だが、運悪く弓矢に射られた仲の良い騎士の血が空に舞ったのを見た瞬間。
—————俺はもう、自分が自分でも止められなくなった。
はっと気がつけば、俺たちが前にしていた多くの敵兵は、その数の殆どが地に伏していた。
気配を感じ振り向き背後に居た味方のはずの何人かが、俺のことを怯えた目で見ていた。
獅子の獣人が扱いづらいとされている原因のひとつを、自分が体現していることにその時俺は気がついた。
俺たち獅子獣人が真剣に戦う時は、一族や家族が脅かされている時のみ。
ということは、決死の一大事のみだ。お互いに殺すか、殺されるか。
そんな状況に力の加減などをして、戦っている場合ではない。