え! ……やだ何、可愛い。
成人した男性のプライドを傷つけかねない言葉を言ってしまいそうになった私は、思わず手で口を押さえた。
そういえば……獅子って、猫と同じ種類だったかしら。確か、猫って熱いもの苦手だったわ。
なんて、可愛いの。
「……姫が今何考えたか、すぐにわかったっす。こんなデカい図体をして、なんだか申し訳ないっすけど、これは生まれつきの体質なんですみません」
「いいえ。気にしないで。こんな二人しかいない私的なお茶会に、礼儀作法も何もないもの。どうぞ自分が飲み頃で飲んで頂戴」
私は人であれば美味しく適温だと言えるお茶を飲みつつ、デュークに微笑んだ。そんな彼は、なんだかいつもとは違った。
私を騙そうとしたという罪悪感でも感じているのかもしれない。
「……ありがとうございます。姫は、優しいっすね」
私は多分……王族はそうあるべきと求められるように、万人に対し優しくはない。
自分が好きな人には特別に優しいだけだ。デュークには、殊更に優しくしたい。
でも、そんな自分を好きになってくれとは……望まないけど。