だから、それは本当の私ではないけど、何も知らない振りをした方が楽な場合だってある。
「……能ある鷹は、爪を隠すって言うでしょ」
私は冗談ぽく伝えたつもりなんだけど、デュークはそうは取らなかったようだ。
彼の真剣な視線は、私の中にある甘い思惑を突き差すようだった。
「そうすか。庶民の戯れ言だと聞き流してくれて別に良いですけど、出来たら……自分を偽らずに生きた方が、良いっすよ。揉め事を起こさずに楽に生きられるって、確かに言葉は良いっすけど。姫はこれから死ぬまで何十年も自分が出来ることを、出来ないと周囲に嘘をついたまま生きるつもりなんですか」
「っ……それは……」
デュークの言っていることを、違うとは言い切れない。
自分を偽って生きていくことは、ある意味では面倒なことも起こらずに楽な道なのかもしれない。
けれど、私は本来の自分であれば手にしていたものを、見つけることも知ることも出来ずに、これから先も生きていくことになる。
「それだと、誰のための人生だか、わからなくなりそうじゃないすか」
「デューク……」
「……能ある鷹は、爪を隠すって言うでしょ」
私は冗談ぽく伝えたつもりなんだけど、デュークはそうは取らなかったようだ。
彼の真剣な視線は、私の中にある甘い思惑を突き差すようだった。
「そうすか。庶民の戯れ言だと聞き流してくれて別に良いですけど、出来たら……自分を偽らずに生きた方が、良いっすよ。揉め事を起こさずに楽に生きられるって、確かに言葉は良いっすけど。姫はこれから死ぬまで何十年も自分が出来ることを、出来ないと周囲に嘘をついたまま生きるつもりなんですか」
「っ……それは……」
デュークの言っていることを、違うとは言い切れない。
自分を偽って生きていくことは、ある意味では面倒なことも起こらずに楽な道なのかもしれない。
けれど、私は本来の自分であれば手にしていたものを、見つけることも知ることも出来ずに、これから先も生きていくことになる。
「それだと、誰のための人生だか、わからなくなりそうじゃないすか」
「デューク……」