「まあ……別に、謝ることなんてないのよ。誰だって、誤解はするものだわ。私がナッシュ団長に会いに行っているのは、毎日とは言え朝だけ。それ以外に偶然に会ったとしても、周囲には侍女や護衛を含め数多くの人が取り巻いている。そんな妙な噂が立つはずがないんだけど……本当に、不思議よね。もしかしたら、誰かが敢えて悪意を込めて流しているのかしら」
首を傾げて私が微笑めば、ヘンドリック大臣は慌てて辞去の挨拶をして去って行った。
私が息をついてから、すぐ隣に居た背の高いデュークの顔を見上げると、彼はとても不思議そうな顔をしていた。
「デューク……? 何?」
「いや、失礼だったら本当に申し訳ないんですけど。姫って決して何も知らない訳ではないのに、たまに頭の悪い振りをしますよね。それは、どうしてですか?」
確かにデュークのこう言う通りに、私は『家族に甘やかされたお姫様』を敢えて演じる事が多いかもしれない。
けど、口答えをするような生意気な女性を良しとしない伝統的な考えを持つ男性が居ることだって、ちゃんと知っていた。
首を傾げて私が微笑めば、ヘンドリック大臣は慌てて辞去の挨拶をして去って行った。
私が息をついてから、すぐ隣に居た背の高いデュークの顔を見上げると、彼はとても不思議そうな顔をしていた。
「デューク……? 何?」
「いや、失礼だったら本当に申し訳ないんですけど。姫って決して何も知らない訳ではないのに、たまに頭の悪い振りをしますよね。それは、どうしてですか?」
確かにデュークのこう言う通りに、私は『家族に甘やかされたお姫様』を敢えて演じる事が多いかもしれない。
けど、口答えをするような生意気な女性を良しとしない伝統的な考えを持つ男性が居ることだって、ちゃんと知っていた。