なのに……幸せそうな恋人同士を前に黙ったままなんておかしい。何かを言わなければいけない。
なのに、それなのに。
ぽたぽたと断りもなく目からこぼれだした涙は、頬を伝ってすうっと流れて行った。
ああ。いけない……何か祝福の言葉を言って、ここを早く立ち去るべきだ。
何も言えなくても、せめてここからは……。
けど、涙は止まらないし、足が動かなかった。
幸せな二人をただ困らせるだけだとわかっているのに、どうしても我慢が出来なくて。
突発な事態に柔軟な対応が出来ない甘やかされた自分が情けなかった。
何も言わずにただ泣いている私を見てデュークと幸せそうに寄り添っていた彼女は、何故か不意に眉を顰めて腕を組んでいた手を離し彼からサッと離れ距離を置いた。
「あの……こんなにもナッシュ団長を純粋に好きな子を、嘘をついて騙すなんて気が引けます。私。お金を貰ってなんてことをしてしまったんだって、変な罪悪感に負けて延々悪夢を見そうなので、この役目は降ります。はい。これ。報酬は返すわね」
「えっ……おい」
なのに、それなのに。
ぽたぽたと断りもなく目からこぼれだした涙は、頬を伝ってすうっと流れて行った。
ああ。いけない……何か祝福の言葉を言って、ここを早く立ち去るべきだ。
何も言えなくても、せめてここからは……。
けど、涙は止まらないし、足が動かなかった。
幸せな二人をただ困らせるだけだとわかっているのに、どうしても我慢が出来なくて。
突発な事態に柔軟な対応が出来ない甘やかされた自分が情けなかった。
何も言わずにただ泣いている私を見てデュークと幸せそうに寄り添っていた彼女は、何故か不意に眉を顰めて腕を組んでいた手を離し彼からサッと離れ距離を置いた。
「あの……こんなにもナッシュ団長を純粋に好きな子を、嘘をついて騙すなんて気が引けます。私。お金を貰ってなんてことをしてしまったんだって、変な罪悪感に負けて延々悪夢を見そうなので、この役目は降ります。はい。これ。報酬は返すわね」
「えっ……おい」