何気なく城の廊下を歩いていた私は、ふと目にした寄り添う男女二人を見て、彼らはお似合いで寄り添い合っていることがとてもしっくりと来ているとそう思った。
本来ならば、男性側からの関係上……心の奥から吹き出すはずの嫉妬なんかよりも、何よりも先に。
立ち止まってしまった私の目の前に美男美女が寄り添い、男性が女性の腰に手を回していた。
「……デューク」
「すみません。姫。見ての通り。こういうことなんで……もう、俺のことは諦めて貰っても良いっすか」
隣に立つ恋人らしき彼女は私にお辞儀をしてからデュークにより近付いて、照れているのか恥ずかしそうに微笑む。
とても大人っぽくて、綺麗な女性だった。
素敵なデュークには、きっとこういう人が似合うだろうと思うような、本当に誰もがお似合いだと評するよう人。
—————私とは、真逆の人。
彼へと人目もはばからずに迫っている理由の元はと言えば、私はデュークを上司に嫌われ嫌がらせを受けているという不遇をどうにかしようとして、王族である私の立場を利用しようとしただけだった。
何も知らないデュークにしてみれば、悪目立ちしてしまう姫に好かれるなんて迷惑だし面倒だっただろう。
けど、丁寧な断り文句は口にするものの、デュークは私が傷付くことや酷いことは決して言ったりしなかった。
だから、ここで幸せを願っていただけの私は『綺麗な人ね。デューク、良かったわね』と、明るく微笑めるはずだった。
だって、私はデュークとは将来的に絶対に結ばれなくて……それでも、彼が好きなことには変わらなかった。少しでも、役に立ちたかっただけだ。
本来ならば、男性側からの関係上……心の奥から吹き出すはずの嫉妬なんかよりも、何よりも先に。
立ち止まってしまった私の目の前に美男美女が寄り添い、男性が女性の腰に手を回していた。
「……デューク」
「すみません。姫。見ての通り。こういうことなんで……もう、俺のことは諦めて貰っても良いっすか」
隣に立つ恋人らしき彼女は私にお辞儀をしてからデュークにより近付いて、照れているのか恥ずかしそうに微笑む。
とても大人っぽくて、綺麗な女性だった。
素敵なデュークには、きっとこういう人が似合うだろうと思うような、本当に誰もがお似合いだと評するよう人。
—————私とは、真逆の人。
彼へと人目もはばからずに迫っている理由の元はと言えば、私はデュークを上司に嫌われ嫌がらせを受けているという不遇をどうにかしようとして、王族である私の立場を利用しようとしただけだった。
何も知らないデュークにしてみれば、悪目立ちしてしまう姫に好かれるなんて迷惑だし面倒だっただろう。
けど、丁寧な断り文句は口にするものの、デュークは私が傷付くことや酷いことは決して言ったりしなかった。
だから、ここで幸せを願っていただけの私は『綺麗な人ね。デューク、良かったわね』と、明るく微笑めるはずだった。
だって、私はデュークとは将来的に絶対に結ばれなくて……それでも、彼が好きなことには変わらなかった。少しでも、役に立ちたかっただけだ。