「ねえ。デューク……私。お忍びで、街歩きに行きたいんだけど。良かったら付いて来て貰えないかしら?」

 この前、私の宮で昼寝をしていたデュークは愛を受け取ってくれはしないものの、私のことをそう悪くは思っていないはずだと知った。

 だから、思い切って王都へのお忍びに一緒に行ってもらえないかと、直接お願いすることにした。

 そして、彼が忘れてしまっている二年前の記憶も、それをきっかけにして思い出したりしないかないう、そういう下心なんかも込めた期待なども込めて。

「俺。忙しいんで、無理っす」

 書類を読んでいたらしいデュークに、私のお願いは何の躊躇もなくすげなく断られてしまった。