彼が居なかったら、私はきっと心を殺されるような目に遭って死んでいた。ぽろぽろとこぼれ落ちる涙に驚いたのか、デュークは私の肩を叩いた。
「おいおい……ごめん。言い過ぎた。きっと、怖かったんだろう。泣くな。せっかく運良く、こうして助かったんだ。家は何処だ? 送ってやるよ」
そう言って彼は目深に被っていたフードを外し、心配した様子の彼の顔が、間近に近づいた。
私は素晴らしく整ったその顔を見て、ついつい心からの希望をこの時、口に出してしまった。
「え……結婚してください」
「は?」
泣いていたから慰めようとしてくれていたデュークは思っても見なかった私の言葉に驚いたのか、暫しぽかんとしていた。
実は自慢ではないけど、いかにも王子様という美麗な容姿を持つ兄三人に囲まれて育ち、異性の容姿に関しては致命的なほどに目が肥えてしまっているという自覚がある。
けど、今この目の前に映る男性は、私が理想としている野生的かつ美形という容姿を持ち、もうどうにも言い尽くせないほどに、とにかく素敵だった。
少し癖のある黒髪の上にある獣耳は、彼が何かの獣人だという証だ。
「おいおい……ごめん。言い過ぎた。きっと、怖かったんだろう。泣くな。せっかく運良く、こうして助かったんだ。家は何処だ? 送ってやるよ」
そう言って彼は目深に被っていたフードを外し、心配した様子の彼の顔が、間近に近づいた。
私は素晴らしく整ったその顔を見て、ついつい心からの希望をこの時、口に出してしまった。
「え……結婚してください」
「は?」
泣いていたから慰めようとしてくれていたデュークは思っても見なかった私の言葉に驚いたのか、暫しぽかんとしていた。
実は自慢ではないけど、いかにも王子様という美麗な容姿を持つ兄三人に囲まれて育ち、異性の容姿に関しては致命的なほどに目が肥えてしまっているという自覚がある。
けど、今この目の前に映る男性は、私が理想としている野生的かつ美形という容姿を持ち、もうどうにも言い尽くせないほどに、とにかく素敵だった。
少し癖のある黒髪の上にある獣耳は、彼が何かの獣人だという証だ。