これまで自分勝手だったと、姫は言ったけど。何もかも逆だ。彼女を傷つけて自分勝手だったのは、他でもない俺の方だった。
もっともっと、姫の心を完全に傷つけるほどにわかりやすく冷たくすれば、見るからに周囲に甘やかされていた姫だって、すぐに俺の執務室にやって来るのを諦めてしまったはずだ。
俺は、それをしなかった。出来なかったのだ。王族のお姫様だから仕方ないと諦めたように見せつつ、姫に会いに来て貰うことを止めて欲しくはなかった。
輝くような素晴らしい未来が待っているはずの王族の姫君に対し、どうにかして身分を持たない自分を諦めさせようとしていたはずなのに、今思い出せば、その時だって心の奥に居る誰かが叫んでいた。
どうか。この俺のことを、まだ諦めないでくれ、と。
姫は無防備な、あどけない顔で眠る。
この彼女を守り切れなければ、俺は殺されてしまうだろう。
それは王族を守るという大事な任務を遂行出来なかったから殺されてしまうなどという、そんな簡単な理由でもない。
もっともっと、姫の心を完全に傷つけるほどにわかりやすく冷たくすれば、見るからに周囲に甘やかされていた姫だって、すぐに俺の執務室にやって来るのを諦めてしまったはずだ。
俺は、それをしなかった。出来なかったのだ。王族のお姫様だから仕方ないと諦めたように見せつつ、姫に会いに来て貰うことを止めて欲しくはなかった。
輝くような素晴らしい未来が待っているはずの王族の姫君に対し、どうにかして身分を持たない自分を諦めさせようとしていたはずなのに、今思い出せば、その時だって心の奥に居る誰かが叫んでいた。
どうか。この俺のことを、まだ諦めないでくれ、と。
姫は無防備な、あどけない顔で眠る。
この彼女を守り切れなければ、俺は殺されてしまうだろう。
それは王族を守るという大事な任務を遂行出来なかったから殺されてしまうなどという、そんな簡単な理由でもない。