デュークはあの時に会ったはずの私と、王族の姫として会った私と姿が違う理由を分析するようにして言った。

「それはそうね……デュークの言う通りだわ。私の顔は王都に住む国民なら、見た事がある人も多いはずよ」

 ユンカナン王族の私は現王の第四子で唯一の娘。

 どんな顔であるか気になって記憶されていても不思議ではない。

「姫を知る人物に会うこともなく、目立つ容姿だからと絡まれることもない。本人には特に支障もないんで、知らされていなくても仕方ない。はーっ……馬鹿みたいだ。こんなに近くに、俺が待っていた女の子が居たとは」

「え……どういうこと?」

 私はデュークが言っていることが、不思議だった。

 確かに、あの時に私は『必ず会いに行く』とデュークに言った。けれど、単なる口約束で拘束力のあるようなものではない。

 けど、デュークはまるで助けた私のことを、ずっと待っていたかのように言った。

「姫は、これは知らないと思う。俺たち獅子獣人の男は、命が危ないとか敵が居るとか……どうしてもっていう時にしか出て来なくて、いつも怠けてる」