もし勘違いではなければ、獣化したデュークはとても怒っているようだ。

 こちらへとゆっくり近付く歩みの中で長い黒い尻尾が、ゆらゆらと不機嫌そうに振れている。

 今まで私が彼に『好きだから、結婚して欲しい』と面と向かって言えていた理由は、すぐに彼が断ると確実にわかっていたからだ。

 もし、好意を寄せる異性に対し、半々の確率で告白するとするならば、それはそれはとても緊張することだろう。

 だって、半々の確率で頷いてくれるかもしれないし、同じような確率で断られるかもしれない。