「私。貴方に王都の街で助けてもらった事があるのって……覚えてる?」
私はその時にようやく、デュークは『あー。あの時の女の子っすか』みたいな反応をするのではないかと思っていた。
けれど、彼はきょとんとした顔で、首を傾げ頭を掻いた。
「は? 俺。そんなことしましたっけ?」
デュークの言葉を聞いて、やっぱり忘れられていたのだと悟った私はガッカリした。
わかってはいたことだけど、やっぱり辛い。
こちらがどれだけの熱量でデュークのことを好きでいようが、彼にとってみればあっさりすぐさま忘れてしまうようなどうでも良い記憶だったのだ。
「……やっぱり、覚えてないのね。仕方ないわ」
甘い出会いも片方だけの幻想だったかと現実を思い知った私が落ち込むと、デュークは慌てて両手を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください。いや……俺は自分が記憶力は、あまりないとは自覚してるっす。けど、身分を隠しているとは言え、こんなに可愛い女の子を助けたなら、流石に覚えてそうですけどね」
「もう……そういう、見え透いたお世辞は、良いわ……だって、現に私のことを覚えていないんでしょう?」
私はその時にようやく、デュークは『あー。あの時の女の子っすか』みたいな反応をするのではないかと思っていた。
けれど、彼はきょとんとした顔で、首を傾げ頭を掻いた。
「は? 俺。そんなことしましたっけ?」
デュークの言葉を聞いて、やっぱり忘れられていたのだと悟った私はガッカリした。
わかってはいたことだけど、やっぱり辛い。
こちらがどれだけの熱量でデュークのことを好きでいようが、彼にとってみればあっさりすぐさま忘れてしまうようなどうでも良い記憶だったのだ。
「……やっぱり、覚えてないのね。仕方ないわ」
甘い出会いも片方だけの幻想だったかと現実を思い知った私が落ち込むと、デュークは慌てて両手を上げた。
「ちょ、ちょっと待ってください。いや……俺は自分が記憶力は、あまりないとは自覚してるっす。けど、身分を隠しているとは言え、こんなに可愛い女の子を助けたなら、流石に覚えてそうですけどね」
「もう……そういう、見え透いたお世辞は、良いわ……だって、現に私のことを覚えていないんでしょう?」