「気持ちは嬉しいよ?でも、申し訳なくて、ゆっくり休めない。実家なら甘えられるけど…」

「家族には甘えられるってことか?それなら結婚しよう」

「あのね…私、本当に心身ともにつらいの。だから、変な冗談言わないで」

「俺は本気だよ」

晃輝の眼差しは、言葉よりもずっと真剣だ。

ずっと親友だったのに、こんな眼差しを向けられたことがあっただろうか。

元気だった頃の私なら、いきなり結婚しようなんて言われても、突っぱねて終わったに決まっている。

しかし、今の私は疲れ果てていて、きっと判断能力がない。

「ホントにいいの…?」

「よくなきゃ言うわけないだろう。言葉だけじゃ信じられないなら、今すぐ役所に行って、婚姻届出してこよう」

晃輝は強引に私の手をとると、友人のところへ押しかけ、証人のサインをもらい、本当に婚姻届を出してしまった。