眠れないだけでなく、食べられなくなり、短期間で10キロ痩せてしまい、生理も止まった。

メンタルクリニックと婦人科に通い始めたものの、体調はよくならない。

「晃輝には、ちゃんと会ってサヨナラを言いたかったの」

「サヨナラって…!」

「私、会社を辞めた。貯金もないし、家賃払っていけないでしょ?だから、実家に帰ろうと思うの」

「実家って、島根の山奥だろ?帰ってどうするんだよ?」

「まだわからない。とにかく今は少し休みたい。その為には帰るしか…」

「だったら、俺のところに来いよ」

「は…?」

何のことかわからず、ポカンとしてしまう。

「住む場所がないなら、俺の部屋に来たらいい」

「晃輝にそんな迷惑はかけられないよ!」

「さほど高給取りではないけど、何しろ安定だけはしてるし、ボーナスもいいからさ。紗英一人増えても平気だって」