「何言ってるの。前の仕事してた頃も、辞めた直後も、心身ともにボロボロでどうかなりそうだった。晃輝が私のこと受け止めてくれたから、こうして立ち直れたのよ?」

すっかり元気になった今の私は、仕事を楽しんでいて、薬も要らない。

「実は私も、学生時代から晃輝のこと好きだったの」

「え!?紗英こそ全然そんな様子なかったのに」

「脈がないって思い込んでたからね。ドライな親友が愛妻家になるなんて、これっぽっちも思わなかった」

人生は、本当にわからない。

もし晃輝と付き合ったり結婚したら、愛されている実感がなくて辛くなると思っていたから、ずっと気持ちにブレーキをかけてきたのに。

「お、やっと流れが良くなってきたな」

車の流れが少しスムーズになる。

「家に着いたら、まず何しようか?」

そう尋ねると、

「じゃあ、姫…」

晃輝の言葉に私は思わず赤面し、二人して笑った。




FINE