「当たり前って言われても、前に言ってたじゃない?恋愛も結婚も興味ないって」

「あれは…俺が子供すぎたからそう言っただけだよ」

言われてみれば、あの頃はまだ、お互いに19だった。

いつも一緒にいたのに、晃輝がいつの間に大人になって、価値観も変わっていたことに気づかなかったなんて…。

「そういう紗英こそ、やっぱり結婚生活はしんどくなった?いつも笑っていてくれたから、紗英も満更ではないのかと自惚れてたけど」

「違うよ!しんどかったら、こんなに元気になれるわけないじゃない。元気になれたのは、本当に幸せだったから…」

私たちは、しばらく無言で見つめ合っていた。

そして、晃輝はポケットから何か取り出し、

「今日、紗英にこれを渡したかったんだ」

小さな箱を開ける晃輝。

まさかと思ったが、そこには指輪が輝いていた。

「改めて言うよ。僕と結婚してくれますか?」