「晃輝、恋愛とか結婚とか、そういうの嫌なはずでしょう?それなのに、私を救ってくれて、本当に感謝してるの。でも、いつまでも甘え続けるわけにはいかないから…」

「別れたいのか?」

その言葉に胸の奥がチクリとする。

「晃輝が晃輝らしく生きるためには、そうするしかない気がしたの」

すると、晃輝は今まで見せたことのない淋しげな顔になった。

「俺は…やっと、自分の気持ちに正直になれたんだけどな」

「え?」

「俺らしさって言うけど、紗英の思う俺らしさってやつが、もし違ってたとしたら?」

何を言っているのか、ますますわからない。

「なんだかよくわからないから、率直に聞くね。晃輝は、このまま私との暮らしを続けたいとでも?」

「そんな当たり前のこと言わせるなよ」