私たちは静かな喫茶店に移動し、お互いのことをあれこれ話した。

無愛想で怖そうに見えた晃輝だが、二人きりになると饒舌になり、気づけば私もかなりリラックスしていたのだから、なんだか不思議だ。

お互い、人数合わせで来たのに、連絡先を交換し、頻繁に二人で会うようになったのだから、まるで抜け駆けしているみたいだったが、見事に色気のない関係。

それでも、女子高から女子大に進学した私は、それこそ幼少の頃以来、かなり久しぶりに親しい男友達ができて、ちょっと嬉しかった。

知り合って1年が経った今、おもむろに素朴な疑問を投げかけることに。

「知り合った合コンには人数合わせで来たって言ったけど、それって誰か好きな人が居たから?」

何しろ、晃輝は端正な顔をしているだけでなく、長身でスタイルもよく、人目を引くタイプだ。

それなのに、恋人の話というのは一度も聞いたことがない。