「あ…ありがと…」

長年の付き合いなのに、可愛いなんて初めて言われた。

本当に、一体どうしたのだろう?


おかしなことに、この日を境に、ドライで私のことを女だと思っていなかったはずの晃輝は、とにかく私のことを大事にしてくれるように。

常に私の心身を気遣い、まるで全てを見抜いているかのように、そっとしておいて欲しい時には何も言わず、体調のいい時には、外へ連れ出してくれる。

「海水浴シーズンになる前に、海にでも行こうか?」

そう言って、私をバイクの後ろに乗せ、海へと飛ばした。

まだひと気のない浜辺を、肩を抱かれながら歩く。

「今の私達、まるで恋人同士みたいね」

ポツリ呟くと、

「あのなぁ…まるで恋人同士じゃなくて、恋人同士みたいな夫婦って言ってよ」

そう言って笑った。