大学は違っても、最寄り駅も年齢も同じだったので、すぐに親しくなれた。

友人付き合いが1年近く経った頃、おもむろに告白されて付き合い始めたという、ありふれた馴れ初めである。

お互い、学生特有のテンションの高さにはついていけないタイプだったから、二人で過ごす時間は、当時も今も穏やかだ。

付き合い始めて、もう5年目だなんて、あっという間である。



そして、約束の土曜日、午前10時。

及川くんは部屋まで迎えに来てくれた。

「今日はどうするの?」

私が尋ねると、

「車借りてきたんだ。よかったら、ちょっと遠くの海まで付き合ってもらってもいいかな?」

「やったぁ、ドライブで遠くまで行くのなんて久しぶりね!」

お互い、都内での一人暮らしなので、マイカーがない。

車中では、会えなかった間、どうしていたかなど、他愛ない話から始まる。