ある日、淋しさを紛らす為に、一人で近くのカフェに出掛けた。

すると、店内では及川くんが一人でぼんやりしていたので驚いた。

もしかしたら、誰かとの待ち合わせかもしれないとも思ったので、勇気が要ったが、

「及川くん」

思い切って声をかけてみた。

彼は驚いたように私を見ていたが、以前と変わらぬ優しい笑顔を見せてくれた。

ただ、何処となく元気がないのは感じる。

「久しぶりだね。元気にしてた?」

そう尋ねられ、

「うーん…あんまり」

「実は、僕も」

お互い、少しぎこちなく微笑みを交わした。

「誰か一緒?」

そう尋ねたら、首を横に振られたので、思い切って、

「向かい側…座ってもいい?」

及川くんは、微笑んで頷いてくれた。

会話の内容は、付き合っていた頃と特に変わらないのに、何かが違う。

やはり私が、恋人という関係を唐突に終わらせてしまったせいだろうか…。