あとからあとから、幸せの涙が溢れてくる。

「もう…泣くなよ」

隆は、そっと私を抱き寄せた。


勢いだけで、突っ走った私。

そんな私を見守りつつも、一緒に突っ走った隆。

この恋に未来がないと両親に告げられた時から、彼の居る未来こそが私の望みだった。


両親は言った。

そんな、ままごとみたいな結婚が続くはずがない、と。

離婚して戻りたいと言っても、もうお前の居場所はない、とも。

それでも構わない。

もう、戻る気などないのだから。

私には、この世界中の何処よりも暖かな居場所がある。



山奥の温泉なので、夜空は天然のプラネタリウムだ。

「ねぇ。ここは昼間の眺めもいいから、明日は朝風呂に入ろうね」

そう言うと、

「うん、ありがとう。紫…愛してるよ」

不意打ちの「愛してるよ」に面食らっていたら、隆は私を強く抱きしめてキスをした。



Fin