私は今、見合い場所のホテルのラウンジへと強制連行されている真っ最中だ。

やはり、私は自力で未来を変えるなんて無理なのだろうか?

「そんな陰気な顔するの、やめてくれない?」

タクシー内で、隣の席に座る母が咎める。

「私、お見合いなんて嫌って、昔から言ってきたよね…?」

「仕方ないでしょ。うちには男の子がいないんだから」

とても悔しい。

もし、私が男に生まれていたら…そして、もっと頭が良ければ、こんなことにならなかったのに。

昔から、友達には、

「紫ちゃん、いいなー!お嬢様なんだから」

そんなことを言われてきたが、ちっともよくない。

確かに、お金である程度の幸せは買える。

毎日食べるものにも困っている人から見たら、贅沢な悩みかもしれない。

それでも、私は好きな仕事をして、好きな人と一緒になりたかった。

裕福な暮らしを捨ててでも、そのほうがいい。