婚約者…それは便宜上の言葉。

確かに、結婚の話はするようになっていたものの、まだハッキリとプロポーズまではされていない。

諒の性格を思うと、改まってプロポーズはせずに結婚の話を進めようとしていた可能性もあり、それに、私の実家へ挨拶に行きたいということもチラッと言っていた。

しかし、それは私が浮気する前のこと。

いくらオープンリレーションシップのことを話していたとはいえ、浮気を水に流せそうもないと言われ、突き放され、そして倒れて…。

別れるつもりかどうかについては、わからないと言われたが、もし、あそこで倒れてしまうことがなければ、諒はどんな結論を出したのだろう?

許すのは無理だと思う…確かにそう言った。

許せないとなれば、残された道は別れしかない。

もし、あの続きがあったとしたら、きっと、諒は悩んだ末に別れを切り出していただろう。