「何しろ、一刻を争う病気ですから、あなたがすぐに通報したことで生存確率は上がったはず。もし、彼が一人きりだったら、それこそ部屋で孤独死していたかもしれないですし、回復することを祈ってください。我々も最善を尽くします」

「…本当に、お願いします…!」

私は深々と頭を下げた。自分の部屋から病院までは、そこそこ距離もあり、帰っている間に何かあっても困る。

だから、すぐ隣のネットカフェで仮眠をとる以外、ずっと病院で諒が目を覚ますのを待ち続けた。

信仰心もないくせに、ただ祈り続けながら。

私は本当にバカだ。

結婚する相手でないと付き合わないと心に決め、諒と出会う前は、デートぐらいはしたが、ちょっとでも不実な男は、すぐに対象外にしたくせに。

諒と出会い、こんなに真面目で誠実な人は二度と現れないと思ったから、この人と結婚前提の付き合いをすると決めた。