「えー!もったいないよ。カノンって今結構人気だし。それに、華音は名前同じじゃん。きょーみない?」


あはは…。
同じ名前も何も、私なんです…。

キーンコーンカーンコーン。

どう答えようか悩み始めたところで、チャイムが鳴った。
ありがとう、チャイム…。


先生が教室に入ってきて、いつもどおりの挨拶をする。


「えー、今日の1時間目は全校集会があるので、ホームルームが終わり次第、移動するように」


今日、全校集会の日だったんだ…。

2ヶ月に一度ほど開かれる全校集会。


「華音、行こ」


「あ…うん!」


莉子ちゃんと体育館に向かう途中、ふわ…とあることを思い出した。

先生に、全校集会のときに持っていくように頼まれた荷物があった。


「莉子ちゃん、ごめん…!忘れ物しちゃったから、取ってくるね。先に行っててもらっていい?」


「いいよ。早くおいでねー」


早足で教室に戻り、荷物を取る。
急がなきゃ…。