仕事をしていると後ろから桃子さんに声をかけられた。
「あれ?例のゲームのグッズ、片付けちゃったの?」
「はい」
「今日もここにいるかも、しれないしね。行かなくて良いの?」
「もう私がファンとバレてしまっては、なんだか」
実はあれからゲームをやっていない。
ストーカーだと言われてリーガル様に嫌われたような気がして辛いのだ。
私の唯一の居場所だったゲームが出来なくなり凹んだが、毎日やっていたものが急に出来なくなり少し気がついたこともあった。
私は桃子さんを見た。
「ん?どうした?」
「いいえ」
この7年間、私は仕事で桃子さんという素敵な人に出会い、麗依という昔からの友人の存在の大きさを改めて感じたのだ。
部長だって、他のスタッフだって、話すことは桃子さんよりは少ないがみんないい人だ。
そんなことにここ数日、気がついた。
もう私の中で7年前の出来事は教訓になりつつある。
実は及川さんの奥さんには、きちんと2人で会って話し合った。
慰謝料のことも含めて話さないといけないと思って自分から連絡を取ったのだ。
「慰謝料?」
「はい。知らなかったとはいえ、奥様を傷つけたのは事実なので」
「そんなもの、いらないわよ」
「え?」
「その代わり、会社であなたを辱めたことは謝らないから」
「謝る必要ないです!」
「あんた、変な子ね。普通、あんなに見られた状況であんなことされたら怒るんじゃないの」
「私が怒る立場ではないので」
「それもそうね」
そう言うと奥様は立ち上がってこう言った。
「金輪際、及川に近づかないことと」
「はい、もちろんです」
「でも」
奥様がその後、黙ってしまったので私は顔をあげた。すると目線を反らしてこう言った。
「テレビ局は辞めるんじゃないわよ」
「どう……して?」
「だってそれで、あなたが辞めたら私のせいみたいじゃない。だから辞めんなよ」
そう言って立ち去っていった。
後から知ったのだが、奥様は上層部のご令嬢だった。
結婚したばかりで式はまだだったらしい。
及川さんがコネで昇進したと思われないように彼が結果を出すまで結婚している事実は一部の人間しか知らない情報だったのだ。
視聴率1位を取ったことでようやくお披露目になるところだったのに私との不倫が発覚して大激怒。
結局、奥様は及川さんが悪いという判断をしたらしく、彼を地方の系列局に飛ばして自分も付いていった。
私に何もないのは癪だからと制作部からの異動を頼んだのも奥様のようだった。
しかし、なんとなくだけど私を好奇の目から守ってくれたのではないかと都合良く考えることもある。
本当のところはわからない。でも今、私がここにいれるのは事実だ。
「あれ?例のゲームのグッズ、片付けちゃったの?」
「はい」
「今日もここにいるかも、しれないしね。行かなくて良いの?」
「もう私がファンとバレてしまっては、なんだか」
実はあれからゲームをやっていない。
ストーカーだと言われてリーガル様に嫌われたような気がして辛いのだ。
私の唯一の居場所だったゲームが出来なくなり凹んだが、毎日やっていたものが急に出来なくなり少し気がついたこともあった。
私は桃子さんを見た。
「ん?どうした?」
「いいえ」
この7年間、私は仕事で桃子さんという素敵な人に出会い、麗依という昔からの友人の存在の大きさを改めて感じたのだ。
部長だって、他のスタッフだって、話すことは桃子さんよりは少ないがみんないい人だ。
そんなことにここ数日、気がついた。
もう私の中で7年前の出来事は教訓になりつつある。
実は及川さんの奥さんには、きちんと2人で会って話し合った。
慰謝料のことも含めて話さないといけないと思って自分から連絡を取ったのだ。
「慰謝料?」
「はい。知らなかったとはいえ、奥様を傷つけたのは事実なので」
「そんなもの、いらないわよ」
「え?」
「その代わり、会社であなたを辱めたことは謝らないから」
「謝る必要ないです!」
「あんた、変な子ね。普通、あんなに見られた状況であんなことされたら怒るんじゃないの」
「私が怒る立場ではないので」
「それもそうね」
そう言うと奥様は立ち上がってこう言った。
「金輪際、及川に近づかないことと」
「はい、もちろんです」
「でも」
奥様がその後、黙ってしまったので私は顔をあげた。すると目線を反らしてこう言った。
「テレビ局は辞めるんじゃないわよ」
「どう……して?」
「だってそれで、あなたが辞めたら私のせいみたいじゃない。だから辞めんなよ」
そう言って立ち去っていった。
後から知ったのだが、奥様は上層部のご令嬢だった。
結婚したばかりで式はまだだったらしい。
及川さんがコネで昇進したと思われないように彼が結果を出すまで結婚している事実は一部の人間しか知らない情報だったのだ。
視聴率1位を取ったことでようやくお披露目になるところだったのに私との不倫が発覚して大激怒。
結局、奥様は及川さんが悪いという判断をしたらしく、彼を地方の系列局に飛ばして自分も付いていった。
私に何もないのは癪だからと制作部からの異動を頼んだのも奥様のようだった。
しかし、なんとなくだけど私を好奇の目から守ってくれたのではないかと都合良く考えることもある。
本当のところはわからない。でも今、私がここにいれるのは事実だ。