「初めまして、中川結衣です。よろしくお願いします!」

わたしはニコッと笑って頭を下げた。

よし、ここまではカンペキ。あとは肝心の席だけど...

「んじゃ、中川君は桐生の隣な」

「はい」

先生が指差した方向を見る。金髪、耳に何個もつけられているピアス、キリッとした顔、鋭い目つき、着崩した制服。

どうしよう、この人、不良とかヤンキーっていうオーラがすごいんだけど!

まずは指定された席に座った。

「あ、えと、よろしく...ね?」

勇気を振り絞って挨拶したんだけど...

ギロッ 鋭い目で睨んできた。ひぇぇ怖い...

ど、どうしよ...あ、もしかして、タメ口なのがダメだった?

「中川さん、無視されててかわいそー」

「転校して隣が桐生って...」

みんなが同情の目でわたしを見てくる。

わー、やっぱり桐生くん?ってそういう感じなんだ...

前の席の女の子が話しかけてきた。

「わたし、橋本愛莉!愛莉って呼んで!よろしくね」

にっこり微笑んでくれた。明るくて優しそうな子だ。

「うん!あ、えっと、愛莉ちゃん?」

「ううん、呼び捨てでいいよ」

「わかった」

「てかさ、結衣、桐生が隣とか大丈夫?さっきも無視されてたよね?」

愛莉は眉をハの字にして心配してくれる。

「あ、ううん、全然大丈夫だよ!さっきはわたしが言葉ミスっちゃっただけだし」

「そ? でも、気をつけてね。桐生ってヤンキーだし」

愛莉は、ヤンキーの部分を小さめにささやいた。

「やっぱり、そうなんだ......心配してくれてありがとう」