露花結冬、13歳。私には、気になっている人がいます――。

正直、この気持ちが『恋』なのかはわからない。

けど、彼と話すと、いつもと違う感じがして。他愛ないことでも、楽しく思える。

「結冬、おはよ〜」

「おはよ、由梨(ゆり)ちゃん」

河橋(かわはし)由梨ちゃんは、私が小学2年生のときに、同じ地域に引っ越してきた子。

私にとっては、お姉ちゃんみたいな存在なんだ。

そんな由梨ちゃんにも、好きな人がいて。誰かは分からないけれど、よく相談を受ける。

「ねえ結冬、結局うち、どうしたらいい?教えて、恋愛マスター!」

何故か私は、彼女から恋愛マスターと呼ばれているけれど、私自身恋なんてしたことない。

由梨ちゃん曰く、そういう系の本読んでるから、らしい。

「う〜ん、あんまり私には分からないけど、由梨ちゃんのしたいようにすればいいよ」

「結冬、相変わらず曖昧〜。どう思って言ってる?」

由梨ちゃんの質問に、思わず彼女から目線をそらす。

私は、今、自分がどう思っているかが分からない。
楽しい、嬉しい、悔しいといったプラスの感情はあるけど、悲しいとか、寂しいとかもあまり感じない。