「あなた、アキラとつきあってるの?」
廊下の一番端にある階段の踊り場に着いたところで、あたしは掴んでいた腕を離して尋ねた。
「そうです。2年A組、秋山 詩穂です」
やっぱり、この子がアキラの本命の彼女か。
会ったことがないから顔も知らなかったし、フルネームも今初めて知ったけど。
“シホ”って名前だけは、時々アキラの口から聞いていた。
つまりこの子から見ればあたしは彼氏の浮気相手になるわけで、確かに怒られるのも当然と言えば当然だ。
「あいつとはもう別れてるから」
あいつは、あたしよりこの今目の前にいる大人しくて真面目そうな秋山さんを選んだ。
だからもうこの話は終わりだ。
まだお弁当食べ終わってないし、さっさと教室に戻ろう。
そう思って教室の方へ歩きかけたとき、
「ちょっと待って下さい!」
秋山さんがあたしの腕を掴んだ。