「3年3組、椎名梓です。あたしは、同じクラスの安東とつき安東ってます」
みんなから歓声があがる。
うちのクラスの方を見ると、安東が近くの男子に何か言われてるのが見えた。
表情までは遠くてはっきり見えなかったけど。
「あたしは、安東と違って見た目派手だし、勉強もできないし、まだ進路も決まってないし、いつも強がってばかりだけど…っ」
想いが溢れて泣きそうになって言葉に詰まってしまった。
どこからか「頑張れ~!」という声が聞こえる。
その言葉に励まされて、あたしは顔を上げて安東の方を見て大きな声で叫んだ。
「これからもあたしの隣にいて、一緒に夢を探してください!」
たくさんの歓声と拍手に包まれる中、朝礼台を降りてクラスの方へ戻ろうとした時。
「それではここで、安東くんから一言もらいましょう! 安東くん、前にどうぞ!」
文化祭実行委員長の言葉と共に、さらに歓声が大きくなった。
混乱するあたしの目に映ったのは、こっちに向かって歩いてくる安東の姿。
そしてあたしの隣に来ると、実行委員長が安東にマイクを渡した。