悪いのはあたしだから謝らなきゃって思っているのに、どうしてもタイミングがつかめなくて。

せっかくの自由時間なのに、あたしはこうしてひとりで校内を歩いている。

ちなみにうちのクラスは、さっき誰かが話していた“壁ドンカフェ”をしている。

校内でもイケメンとして人気のあるバスケ部エースの男子が壁ドンをしてくれるということで、朝から大人気だ。

壁ドン役はイケメンに限るということで安東は裏方担当だけど、安東が壁ドンしたらどんな感じになるのかなぁ…なんてちょっと妄想
してみたりして。

う~ん…やっぱ微妙かなぁ。

* * *

「間もなく後夜祭が始まります。片づけが終了したクラスから校庭に集合して下さい」

最初は長く感じた文化祭も始まるとあっという間で、気がつけば後夜祭の時間。

大盛況で終わったうちのクラスもみんな片づけを終えて校庭へ向かう。

「梓、大丈夫?」

「うん」

梨沙が心配そうに声をかけてくれて、笑顔で頷く。