大和撫子って言葉が良く似合うお嬢様系美人さん。
名前まで和風で綺麗だし。
「そっか~本ばかり読んでた慧くんにもついに彼女ができたのか~」
しみじみとつぶやく北見さん。
安東はその隣でちょっと恥ずかしそうだ。
「前はよく“うららお姉ちゃんと結婚する!”って言ってたのにね~」
「いつの話してるんだよ!もうそろそろ時間だろ? 早く行きなよ」
「もう、慧くんってば照れちゃって~」
ふたりの親密なやりとりを、ただ黙って見ていることしかできないあたし。
なんだろう、この疎外感。
ふたりはいとこ同士で家族みたいなものなんだから、仲良くて当たり前。
それはわかっているけど。
「じゃあ、お邪魔しました~」
そう言って、ひらひらと手を振って本屋を出ていった北見さん。
「ごめん、買い物終わったらそっちに行こうと思ったんだけど。麗さんこの近くのカフェでバイトしてるらしくて、さっき偶然会った
んだ」
颯爽と歩く後ろ姿を見送りながら、安東が言う。