「あ、待ってよ」
慌てて小走りで安東の背中を追いかける。
っていうか、初デートなのになんかそっけなくない?
なんて思っていたら、
「ほら」
ぎこちなく差し出された手。
その手を取って、指を絡める。
たくさんの人で賑わう夏休み中の街中。
向かったのはこの辺で大きいと有名なショッピングモール。
高校生や大学生カップルのデートの定番スポットになっている場所だ。
「とりあえず何か食べない?」
メイクと服選びに時間がかかって朝ご飯食べてないから、お腹空いてるんだよね。
「じゃあどこか入ろうか」
とは言ったものの、夏休み中だけあって、どのお店もかなり混んでいる。
「並ばずに入れそうなのは中華系か和食系だけど、どうする?」
「椎名さんが食べたい方でいい」
食べたい方と言われても、あたしも別にどっちでもいいんだけど。