* * *
外に出ると、目が眩むほど強い日射し。
始まったばかりの夏の太陽は容赦なく肌を焦がしていく。
「この暑さありえないんだけど!」
文句を言いながら、椎名さんが日傘を取りだした。
「もしかして毎日持ち歩いてる?」
「あたりまえでしょ? 焼きたくないもん。日焼け止めもかかさず塗ってるし」
いつも白くて綺麗な肌は、そういう小さな努力の積み重ねなのか。
感心すると同時に、女子って大変だなと思う。
でも、勉強は苦手でも可愛く見せるための努力を惜しまないところは、彼女の長所なのかもしれない。
「そういう綺麗になるための努力が苦じゃないなら、進路も美容系で考えてみたら?」
「え?」
「美容師とか、ヘアメイクアーティストとか、エステティシャンとか。美容系にも色々あるだろうから、休みの間に調べてみたらいいじゃないかな」