「だから、まさか安東とつきあってること認めてくれてるなんて思わなくて」
「そっか」
先生も認めてくれてるなら、それは俺にとっても嬉しいことだ。
「安東は夏休み受験勉強漬けでしょ?」
「まあ、そうだね」
「じゃああたしと遊ぶ時間もないよね」
「別にそんなことないよ」
「ホント?」
「うん。予備校がない日、どこか行こうか」
「やったぁ! 楽しみ」
とたんに嬉しそうに瞳を輝かせてはしゃぐ梓を見て、なんだかお父さんにお出かけをねだっている子供みたいで可愛いな、なんて思ってしまった。
付き合い始めてから、梓は前よりも感情を素直に出すようになった。
いつもどこか冷めていた顔をしていたから、こうしてストレートに喜んでいるところを見ると距離が近づけたような気がして嬉しくなる。
「なにニヤけてるの? キモイよ」
毒舌は相変わらずだけど。