「つきあってますけど」

別に隠してるわけじゃないし、あたしが安東とつきあってるのはクラスのみんなも知ってるから正直に答えたら。

「正反対カップル誕生ね」

先生はさっきまでの厳しい表情を少し穏やかに崩してしてつぶやいた。

「人って、自分にないものを持っている人に惹かれるのね」

もしかして注意されるのかと思って少し身構えていたのに、先生はしみじみとそう口にして優しい瞳であたしを見たから拍子抜けした。

「あなたが安東くんと付き合ってることでいい方に変わってくれたらいいんだけどね」

生活指導担当で厳しい担任が、そんなことを言ってくれるなんて思わなくて驚いた。

あたしが安東とつきあってることを頭ごなしに怒らずに、応援してくれている。

意外といい先生なんだ。

「とりあえず、安東にも相談してみます」

あたしがそう言うと、先生は笑顔で頷いてくれた。