時間があったところで父親に進路のことなんて相談する気もないけど。
「じゃあ、きちんと話してもう一度これ提出して」
あたしに白紙のままの調査票が返された。
「話し合う時間なんてないんですけど」
「大事な娘さんの将来なんだから、あなたが話せば聞いてくれると思うけど」
「勝手に決め付けないでください」
大事な娘だなんて、そんな風に思っていたら初めから離婚なんてしない。
仕事ばかりしないでもっと早くからあたしと過ごす時間だって作ってくれたはず。
「とにかく、それはきちんと書いて出しなさい」
これ以上話しても無駄だと思ったのか、先生はそう言って机に置いてあった書類を整理し始めた。
「そういえば、椎名さんって安東くんとつきあってるの?」
席を立った時、突然思い出したように先生が言った。