そのうえで、あたしを好きだって言ってくれてるんだ。

だから、気にすることなんてない。

そう自分に言い聞かせてあたしは自分の席に着いた。

「椎名さん、大丈夫?」

安東が、隣の席に座りながら心配そうに訊いてきた。

「うん、大丈夫。さっきの安東、カッコ良かったよ」

あたしが小声でそう言うと、

「…ごめん、みんなの前で…」

安東は恥ずかしそうにうつむきながらつぶやいた。

「ううん。嬉しかったよ」

これから、あたしは安東の彼女なんだって、堂々とできるから。

「そっか」

安東が照れながらも優しく笑いかけてくれたその時、

「はい、ホームルーム始めま~す」

先生の言葉と共にチャイムが鳴って、朝のショートホームルームが始まった。

「二者面談の日程表配るから、確認してください」

担任がそう言いながらみんなにプリントを配り始めた。

そっか、もうそんな時期なんだっけ。

自分が受験生だってこと、すっかり忘れてた。